「香り」と「匂い」の考察

pepe

2010年04月13日 11:39

 最近ブログで香水や香りの話題が多いですね。odeur、parfum、arome・・・今日はpepeの講義で=す!

シャルルドゴール空港に着き、サテライトからイムグレまでエスカレーターで向かってると、出国のため前から来るフランスの

女性とすれ違う時、日本ではあまり感じないカボシャールなどの香水の香りが鼻腔をくすぐり、「ああ、やっとパリに来たんだ」と

言う実感がわきますね。事実フランスと香水は完全にメタファーの関係です。

同じようにもう50回以上行ったハワイのホノルルに着くや、ココナッツミルクの甘い香り、ここもこれらはメタファーの類ですね。

また、パリのメトロの匂い、浮浪者達の体臭と小便の浸み込んだ新聞紙の匂い、芳香剤入りの消毒薬・・・これにパリの

浮浪者に欠かせないワインの酸っぱい匂いを加味したこのアマルガム。

日本ではもはやこうした文字通りの人間的な匂いを欠くようになって久しいですね。

pepeがガキの頃は、どこの街にも小便くさい路地が必ずありましたよ。

ところで「香水」が生まれるきっかけの一つに、14世紀に錬金術の副産物としてワインからアルコールを蒸留する

製法で生まれたとか。

ハンガリーの女王エリザベートが発明、世界最初の香水「ハンガリー女王水」だという説もありますね。

錬金術の高度に発達したイタリアのフィレンツェは、特にメディチ家の影響が大でした。

フランスのアンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディチは、お抱えの調香師をパリに連れて行ったんです。

しかしフランス人は体臭に鈍感で、続くアンリ4世、ルイ13世、14世、15世と続いたブルボン王朝の宮廷では

嗅覚的には、到底想像もつかない悪臭漂う環境になってしまったんですね。

こうした環境に新しい息吹をもたらしたのが、18世紀オーストリアからルイ16世に嫁いだマリ・アントワネットです。

彼女は「ハンガリー女王水」のような香水を好み、さらに19世紀半ばにナポレオン3世の皇后になったスペインの女性

ウージェニーで、彼女はとりわけライムやレモンの香りを好み、次第に「野の香り」、「花の精」などのフローラル系が

幅を効かせ、やがて香水とフランスは互いにメタファーの関係に入ったんですね。

こうしてみると、現在のフランス香水の成分にはカトリーヌ・ド・メディチ、マリ・アントワネット、ウージェニーという3人の

フランス以外の外国女性の力が大きかったんですね。

フランス人よ、自慢するなよ!!

ところで、フランスで最初の香水を発売したのが1828年「ゲラン」です。

それまで主流だった英国の香水に負けないぞという意気込みで生まれた「ゲラン」。

まず、「オ・ド・コローニュ・アンペリアル」、そして「青の時間」、「ミツコ」、「夜間飛行」と、ヒットを連発し、「ゲランの香りが

フランスの香り」と言うイメージを世界中に広めたんですね。

ああ、疲れちゃった・・・。

(一部、コルバンの「匂いの歴史」、鹿島茂訳参照)