天ぷら職人の信じられない凄さ・・・
かって、県下有数のすし「月の木」の赤嶺氏が「僕は寿司職人にはなれたけど、天ぷら職人には到底なれなかったですね」
って言われたことがありました。
pepeも寿司職人も天ぷら職人も一人前になるには最低10年はかかるってことぐらいは知ってたんですが。
天ぷらに詳しい方、そして先日上京してこの眼で確かに一人前の揚げ手の凄さをまざまざと見せ付けられました。
天ぷらとは、ただ揚げるのではなく、油の中で水分を抜き旨みを凝縮した蒸しものなんです。
一つ一つの素材によって水分が抜ける温度、時間が異なり、それを目と耳で見極めなければなりません。
一般に、175度で水分をとどめ、185度から水分が抜けるといわれ、その為一流店では鍋が二つ、なかには
三つ用意してますよね。
魚介類は185度以上、穴子などは200度と言われ、野菜は160度から175度、根菜類はもっと低温で。
この温度も長い経験から測らなくてもわかるんですね。
天ぷらと言えばまず車えび、大きさは才巻程度が一番。
外は200度近くで揚げてはいますが、中は超レアで45度の温度が一番甘みを感じるんですね。
そんな揚げ方なんて最低10年のキャリアを積まないと出来ませんよね。
熊本の茄子ですね。
高温だと水分が抜けてしまう、抜けそうな水分を衣が防ぐことで美味しい茄子が・・・・。
一方根菜類は、150度ぐらいの低温でじっくり揚げることで中までほっくりするんですね。
pepeの好きなアスパラは・・・・
何と言ってもあの水分が旨いんですよね。
水分を逃がさないように175度で、火加減には細心の注意を払い、温度が上がり過ぎないように
時には火を落とします。
じんわりと水分が抜けてゆく音がします。
水分が抜けすぎないように音を聞いて鍋から上げる、このタイミングが重要なんですって。
すべての天ぷらは鍋の中で揚げきっては駄目ですね。
揚がる直前に素早く鍋から上げることが肝心。
あとは余熱で旨みのある天ぷらの一丁上がり!
そう言えば、すし職人の方とはカウンター越しで会話をしますが、一流の天ぷらの揚げ手は一切
しゃべらず、ただじっと鍋を見つめてますよね。
目と耳で、温度から揚がり具合を1秒たりとも逸らさず・・・。
名人といわれる「みかわ」の早乙女さんもミシュラン二つ星の「近藤」の近藤さんも普段は饒舌ですが
天ぷらを揚げる時は一切しゃべりませんね。
それだけ奥の深い料理というか芸術ですよね。
大分では別府の加藤君が頑張ってますよ。
彼も揚げる時には寡黙ですよ。
本日までの走った距離285km/400km